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コラム

2025-12-20

ニアリーZEHとは?ZEHとの違いやメリットをわかりやすく解説

住宅の省エネルギー性能を高めることは、快適な室内環境の実現だけでなく、長期的な経済性にも大きく寄与します。
中でも、近年の住宅建築において注目されているのが「NearlyZEH」という考え方です。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)が目指す一次エネルギー消費量収支ゼロという高い目標に対し、NearlyZEHは、日射量が少ない地域や屋根形状などの理由で創エネルギーが難しい場合でも、断熱性能の向上や高効率な設備導入によって、ZEHに限りなく近い省エネルギー性能を目指す住宅を指します。
今回は、NearlyZEHの基本的な知識から、ご自身の建築予定地での適用可能性、そして導入によって期待できる具体的な経済的メリットまでを解説していきます。

NearlyZEHの基本ZEHとの違いと適用条件

NearlyZEHの定義とZEHとの違い

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、住宅の年間一次エネルギー消費量収支をゼロ以下にすることを目指した住宅であり、具体的には、断熱性能の向上や省エネ設備の導入によってエネルギー消費量を削減し、さらに再生可能エネルギー(主に太陽光発電)によってエネルギーを創り出すことで、消費エネルギーと創エネルギーの年間収支をプラスマイナスゼロ、あるいはマイナスにするという概念です。
一方、NearlyZEHとは、このZEH基準に「限りなく近い」住宅と定義され、多くの場合、ZEHの省エネルギー基準(断熱性能や一次エネルギー消費量削減率)は満たしつつも、再生可能エネルギーによる創エネルギー量については、ZEHの目標値よりも緩和された基準が適用される住宅を指します。
これは、建物の形状や立地条件などにより、ZEH基準を満たすほどの太陽光発電システムを設置することが困難な場合でも、高い省エネ性能によって大幅なエネルギー消費量削減を実現し、実質的なエネルギー負荷を低減することを目指すものです。

NearlyZEHの適用地域判定基準

NearlyZEHの適用可能性や、満たすべき省エネルギー基準は、建築される地域によって細かく定められています。
これは、建物が受ける日射量や外気温、湿度といった、地域ごとに異なる自然環境条件を考慮するためであり、具体的には、建築物のエネルギー消費性能の表示に関する判断基準において定められている「省エネ基準地域区分」に基づいて判定されます。
日本全国は、Ⅰ地域(北海道)からⅧ地域(沖縄)までの8つの地域区分に分けられており、地域区分が上がる(数字が大きくなる)ほど、温暖な地域となり、求められる断熱性能や省エネルギー基準は緩和される傾向にあります。
NearlyZEHは、特に日射量が比較的少なく、断熱性能の確保がより重要となる地域区分において、ZEH達成の現実的な選択肢として位置づけられています。

地域区分・日射区分の確認方法

ご自身が建築を検討している土地がどの省エネ基準地域区分に該当するかを確認するには、まず国土交通省が公表している「建築物のエネルギー消費性能の表示に関する検討会」の資料や、関連する法令(建築物省エ;ネルギー法など)を参照するのが確実です。
これらの情報源には、日本地図上に地域区分が色分けされた図や、各都道府県の市町村ごとの地域区分リストが掲載されています。
また、一般的な日射区分についても、地域区分と連動して考慮されることが多く、建築会社の担当者や、建築設計事務所、ハウスメーカーの専門家に相談することで、具体的な地域区分や日射区分、そしてそれらに基づくNearlyZEHの適用条件について詳細な情報を得ることが可能です。
これらの情報を事前に把握しておくことで、より効果的な住宅計画を進めることができます。

NearlyZEHで得られる経済的メリット

光熱費削減効果を試算する

NearlyZEHの導入によって期待できる最も直接的な経済的メリットは、日々の光熱費の大幅な削減です。
高い断熱性能を備えた住宅は、外気温の影響を受けにくく、冷暖房に必要なエネルギー消費量を大幅に抑制することができます。
さらに、高効率な給湯器や照明設備、換気システムなどを採用することで、エネルギー効率は一層向上します。
これらの省エネ対策により、例えば、従来の住宅と比較して年間で数万円から十数万円、場合によってはそれ以上の光熱費削減が見込める可能性があります。
具体的な削減額は、建物の断熱仕様、使用する設備のグレード、そして居住されるご家族のライフスタイルやエネルギー消費量によって変動しますが、長期的な視点で見れば、初期投資を回収し、家計の負担を軽減する大きな要因となります。

NearlyZEH向け補助金制度を解説

国や自治体では、省エネルギー性能の高い住宅の普及を促進するために、様々な補助金制度を設けており、NearlyZEHもその対象となる場合があります。
例えば、経済産業省資源エネルギー庁が管轄する「ZEH支援事業」では、ZEHやNearlyZEHの建築、あるいは既存住宅のZEH化(ZEH改修)に対して補助金が交付されます。
令和7年度(2025年度)の公募内容については、年度当初に詳細が発表されますが、過去の制度では、NearlyZEHの定義に合致する住宅に対し、一定額の補助金が支給されることが一般的でした。
申請には、定められた省エネ基準を満たすこと、登録された事業者による施工、および所定の申請手続きが必要となります。
補助金制度は年度ごとに予算や要件が変更される可能性があるため、建築を計画している年度の最新情報を、関連省庁のウェブサイトや建築事業者を通じて必ず確認することが重要です。

住宅ローン控除・贈与税非課税枠拡大の恩恵

NearlyZEHのような省エネルギー性能の高い住宅は、税制面においても優遇措置を受けることができます。
まず、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)においては、ZEHやNearlyZEHといった、一定の省エネ基準を満たす住宅は、控除対象となる借入金の年末残高の上限額が高く設定される場合があります。
これにより、住宅ローンを利用してNearlyZEHを新築・取得した場合、所得税の控除額が増加し、実質的な負担軽減につながります。
さらに、親から子などへの住宅取得資金の贈与に関する非課税制度においても、省エネ等基準に適合する住宅を取得する場合、通常よりも非課税となる金額の上限が引き上げられます。
例えば、2024年度の税制改正では、省エネ基準を満たす住宅の場合、非課税枠が最大1,000万円(通常は500万円)となる措置が講じられています。
これらの税制優遇措置を最大限に活用することで、NearlyZEHの導入にかかる初期費用の負担を軽減することが可能となります。

まとめ

NearlyZEHは、ZEH基準に限りなく近い高い省エネルギー性能を持ちながらも、創エネルギー基準が緩和されているため、日射量が少ない地域など、ZEHの実現が難しいとされる環境下においても、省エネ住宅の選択肢となり得る魅力的な住宅形態です。
建築予定地の地域区分や日射区分を確認することで、ご自身の計画地での適用可能性を具体的に把握することができます。
さらに、NearlyZEHの導入は、断熱性能や高効率設備の採用により、日々の光熱費を大幅に削減できるだけでなく、国や自治体の補助金制度、そして住宅ローン控除や贈与税の非課税枠拡大といった税制優遇措置によって、初期費用や長期的な家計負担の軽減にも大きく貢献します。
これらのメリットを総合的に検討し、賢くNearlyZEHの導入を進めることで、快適で経済的な住まいを実現することができるでしょう。

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