人生の多くの時間を過ごす家。
いつまでも快適に、安心して暮らせる家づくりは、誰もが願うことでしょう。
特に、将来を見据えた家づくりでは、健康状態の変化や家族構成の変化にも対応できる柔軟な設計が求められます。
バリアフリー住宅は、そんな不安を解消し、家族みんなが笑顔で過ごせる住まいを実現するための重要な選択肢です。
今回は、バリアフリー間取りの設計で本当に必要なことについて、具体的なポイントを解説します。
快適で安心できる住まいづくりのヒントになれば幸いです。
バリアフリー間取りの基本設計
段差解消の重要性
段差は、高齢者や車椅子利用者にとって大きな障壁となります。
玄関、廊下、各部屋の出入り口など、家全体の段差を極力なくす、もしくは、スロープや段差解消機材で対応することが重要です。
スロープを設置する際は、建築基準法で定められた勾配(1/8以下)だけでなく、より緩やかな勾配(1/12以下)を目標に、十分な長さも確保しましょう。
適切な通路幅の確保
車椅子利用者の通行を考慮し、廊下やドアの幅を確保しましょう。
車椅子がスムーズに通過できる通路幅は、最低でも90cm、家族とすれ違えるためには120cmが理想です。
廊下を広く確保できない場合は、部屋同士を直接繋げる間取りや、ホールを設けることで、動線の効率化を図りましょう。
ドアは、開閉が容易な引き戸がおすすめです。
ドアの選び方と配置
ドアの幅は、車椅子や杖を利用する人の出入りを考慮し、最低でも80cm、できれば90cmの幅を確保しましょう。
開き戸は車椅子利用者にとって開閉が困難なため、引き戸を採用することが望ましいです。
また、扉を付けずに、袖壁などで仕切る方法も検討できます。
スイッチ・コンセントの位置
スイッチやコンセントの位置は、車椅子に座った状態や、立った状態でも使いやすい高さに設置することが大切です。
また、手の届きにくい場所に設置されている場合は、延長コードの使用を避け、コンセントを増設するなどの対策を検討しましょう。

各部屋のバリアフリー設計と補助金
玄関のバリアフリー設計
玄関アプローチは、段差をなくし、滑りにくい素材を使用しましょう。
車椅子利用者の場合、玄関までのアプローチ、玄関ポーチ、内玄関は、最低でも120cmの幅を確保し、スロープや手すりを設置する必要があります。
また、照明を適切に配置し、夜間でも安全にアクセスできるように配慮しましょう。
トイレのバリアフリー設計
トイレは、車椅子でも利用しやすいように、十分な広さを確保しましょう。
手すり、温水洗浄便座、便座の高さを調整できる便器などを設置すると、より快適に使用できます。
また、介護者の介助もしやすいよう、動線にも配慮しましょう。
浴室のバリアフリー設計
浴室は、滑りやすい床を避け、滑り止めマットや手すりを設置しましょう。
浴槽への出入りを容易にするために、浴槽の形状や高さ、また、洗い場と浴槽の段差にも注意が必要です。
浴槽に浸かるのが困難な場合は、シャワーブースの設置も検討しましょう。
キッチンとリビングの間取り
キッチンは、車椅子でも使いやすい高さのカウンターや、座って作業できる椅子を設置しましょう。
また、リビングとの間仕切りは、開閉しやすい引き戸にするなど、動線に配慮した設計が重要です。
キッチンとダイニング、リビングが一体となった空間にすることで、家族とのコミュニケーションをとりながら家事が行えます。
寝室のバリアフリー設計
寝室は、ベッドの周囲に十分なスペースを確保し、ベッドへの乗り降りや、部屋の中での移動がしやすいようにしましょう。
また、夜間の移動に備え、照明やスイッチの位置にも配慮しましょう。
補助金制度の活用方法
バリアフリー改修には、国や地方自治体から補助金が支給される場合があります。
各自治体の制度や条件を確認し、活用を検討しましょう。
「こどもエコすまい支援事業」などの制度も有効活用することで、費用負担を軽減できます。
まとめ
バリアフリー住宅は、単に段差を解消するだけでなく、高齢者や障害者だけでなく、小さなお子さんや妊娠中の方など、すべての人が快適に暮らせる住まいづくりです。
適切な通路幅の確保、ドアの選び方、各部屋の設計、そして補助金制度の活用など、様々な要素を考慮する必要があります。
これらの点を踏まえ、家族構成や将来のライフスタイルを考慮した、安全で快適な住まいを実現しましょう。
将来にわたって安心して暮らせる家づくりは、家族の幸せにつながります。
計画段階からしっかりと準備を進めることで、より快適な住空間を実現できるでしょう。
補助金制度の活用も検討し、費用面での負担軽減も図りましょう。
この記事が、皆様の快適な住まいづくりに役立てば幸いです。